チャット依存からの脱却「ツ社、チャットやめたってよ」

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こんにちは、システムエンジニアの福田です。2005年から社会人をやっていますので、約20年このIT業界でシステム開発に携わっています。新卒で入社したSESの会社のおかげで、いろいろな現場を見て回ることができました。比較してみると、連絡方法はさまざまだったと思います。

本記事は、私たちツチノコテクノロジー(以下、「ツ社」といいます)の使っているツールを紹介する企画の第1弾です。それ以外の記事はこちらからご覧ください。

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このたび、ツ社はチャットを辞めました。
時代に逆行しているのでは?と思われるかもしれませんが、在宅勤務10年の私が、20年チャットを使って考え、チャットは不要との結論に至りました。その過程を記載したいと思います。

目次

使っていたチャット

ツ社は2020年設立の会社です。設立当初から完全在宅勤務で、全社員がリモートワークをおこなっています。私たちが使っていたチャットは以下のとおりです。

  • 2020年~2022年夏 Slack
  • 2022年~2023年冬 Teams
  • 2023年冬~ チャット辞めました

設立当初は、Slackを利用していました。
Slackの有料化が強まり、チャットログが残せないことを危惧したため、有料版を利用していました。
しかし、人数が多くなってきて、料金も高くなってきたので、Teamsに移動します。
Microsoft365を契約して使っていましたので、Teamsは追加費用がかかりませんでした。
TeamsでもSlackくらい快適に仕事ができるだろうと思っていましたが、まったく期待外れでした。
チャットのせいで仕事の生産性がどんどん低くなっていくように感じられました。これはSlackに戻したとしても同じだろうと判断しました。
そこで、2023年冬に、Gatherを導入。チャットを辞めました。

なぜチャットをやめたのか

SlackやTeamsはとても便利なサービスであると思います。質問や確認、通話したりできます。リマインダーやWebhookによる通知なども、便利に使うことができます。では、なぜチャットをやめたのか。チャットをやめた4つの理由を説明いたします。

1. チャットファーストの気持ち

チャットを使っている方々に質問です。誰かと通話したいと思ったとき、どのような行動をしますか?

Slackを使っていたとすると、通話したい相手にDMで「XXさん、XXについて話したいので通話いいでしょうか?」と聞いていませんか?

そのあと、どうでしょうか。
1分くらい待ってると、相手が書き込みしてきます。
チャット枠の下に「xxさんが書き込み中…」と表示されているのが出ます。もしかしたら、すぐに通話できるかもしれません。ですが、表示されたメッセージは「すいません、今からチームミーティングなので、1時間後でいいでしょうか?」通話はすぐにできないようです。こちらもすぐに書き込みします。「わかりました。よろしくお願いします」

さて、上のやりとりをするのに、何分かかりましたか?5分?10分かかったかもしれません。この時間は本当に無駄です。1日に何回この時間があるでしょうか?

チャットファーストの精神は、無駄の連続です。みんながそれぞれの時間を尊重して、チャットで連絡をとってから行動しようとすると、このような無駄がいくらでも発生します。

まずはこの時間をやめたかったのが第1の理由です。

2. DMによる見えない会議

みんなに言うほどではないけど、聞いておきたいことをDMで聞くと思います。
質問の回答が、けっこう設計の基本的な考え方が必要だったり、開発環境の設定が必要だったりすることも多々あります。この内容をあとで検索したとき、検索できるのは自分と回答者だけです。他の人は検索できません。

みんながDMを使わなければ回避できるのですが、「DM禁止」という言葉の重さたるや!社員がDMで文句を言い合う様が目に浮かびます。なんだかプライバシーを侵害されているかのような気持ちになります。かといって、DM禁止を言わなければ、このようないちいちの確認事項などのナレッジがたまりませんし、公開されません。

どうにかしないといけないなと考えたのが第2の理由です。

3. 流れていく仕事の重要情報

最近のチャットでは、履歴を有料で買うことが多いようです。Slack、チャットワークの無料版は、メッセージの見れる件数が決まっています。もし1年前のメッセージが見れなくなった場合、1年前にやったナレッジは失われ、検索できなくなります。

私たちもチャットワークを無料で使っていて、有料に変わったあとに、情報が失われて困ったことが起こりました。お金を払っていないせいだと言われればそうなのですが、この怖さは、個人的にはかなりの衝撃をもって受け入れられました。

チャットサービスは便利で、ナレッジがチャットに貯まっていけば、自然とチャットサービスでナレッジを探そうとします。

チャットサービスにナレッジを貯めたくないなという気持ちが強くなった瞬間でした。これが第3の理由です。

4. セキュリティの観点

チャットでパスワードを送ったり、お客さまの個人情報やお客さまの性格についてを送ったりすることはありませんか?私の感覚で、LINEはダメで、Slackはいいとか、セキュリティを気にするレベルがいくつかあるように思います。私たちはこれらの情報交換をすべて、もっと高いセキュリティを誇る1Passwordのみでやりとりすることに決めました。チャット内でパスワードを送ると、もしかしたら1年後に失われてしまう可能性もあります。

1Passwordのナレッジを高め、チャット内で秘密情報を交換しないようにしたい!これが第4の理由です。

チャットをやめて社内コミュニケーションをどう変えたか

4つの理由から、私たちはチャットを辞めることにしました。チャットをやめたからといって、社内コミュニケーションをゼロにするわけではありません。いくつかのサービスを使って、今までのやり方を置き換えていくことにしました。

  • 秘密情報・重要情報 1Password
  • 資料・会議の録画 SharePoint
  • お客さまからの電話記録 Re:lationの応対メモ
  • お客さまからの連絡に対する相談 Relationのコメント
  • 質問・相談 GitHub Discussion
  • 仕事内容の確認 GitHub issue内でコメント
  • ちょっとしたことや社内ミーティング Gather

今まで、すべての情報がチャット内に記録されていましたが、それらの情報はすべてがナレッジであるという前提に返りました。仕事の会話やチャットは、すべて資産なのです。

GitHubやRe:lationで、非同期の会話はほぼ成り立ちます。各自のスマホにアプリをインストールしてもらっていれば、通知もされるので、比較的早い段階でチェックしてもらえます。

1Passwordは本当に素晴らしいサービスです。社内の権限委譲がこんなにもスムーズに管理できるとは思いませんでした。マスターパスワードの変更など、チャットだと危険な操作も、いつでも行うことができます!ブラウザに拡張機能を入れておけば、再入力もまったくする必要がありません。最近ではブラウザにパスワードを保存する機能がついていますが、私たちはその機能を使わないようにしています。

1Password,、SharePoint、Re:lation、GitHubについては他の記事で説明いたします。

ここでは、Gatherについて説明したいと思います。

Gatherとは?

Gatherは、バーチャルオフィスサービスです。2020年5月にスタートしました。Gatherのビジョンは「つながりや会話が生まれるバーチャルオフィス」です。

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私たちは4つの理由から、チャットが強くないサービスを探していました。Gatherとの出会いは、出向先です。出向先の会社でGatherが使われていました。ただ、そこでは会議スペースとして使っていただけでしたので、「SlackでいいのになんでGather?」と思ったものです。Gatherを調べていくうちに、ビジョンに共感することができ、2023年12月に導入しました。

Gather導入当初は、ひとしきりマップ内を回ってみたり、ショートカットを試したりと、いろいろと遊んでみました。ゴーカート場があったり、犬を連れて行くことができるなど、遊び心満点です。屋上スペースにたき火がありました。パチパチと音が聞こえてきます。毎月1回の定例の集まりはたき火前でやることにしました。

Gatherを使い初めて、質問にチャットを使わなくなりました。質問で決まったことや、資料を作ったりしたら、ナレッジとしてGitHubやSharePointで情報を共有するようになりました。普段から会話ができるので、予定を開けて実施する会議の重要性をあらためて認識しました。ちゃんと会議をする場合には、議題を事前に共有して、時間を決めて集まります。Teamsを使っていたときには、会議予約を使っていました。Gatherでは、Googleカレンダーを使って、Gather内の打ち合わせスペースで会議をすることにしました。Teamsはあまり使いこなしていなかったので、会議予約を見るときにはTeams内のカレンダーを見るしかありませんでした。Googleカレンダーは普段使いしていたので、予定の確認がとてもやりやすくなりました。

チャットをやめて4ヶ月でわかったこと

チャットをやめてから4ヶ月がたちました。Gatherにもちょっとしたチャットがあります。今までのチャットと違って、話の途中で出てきたURLの共有をするくらいで、チャットの利便性は大きく損なわれました。大成功です。

チャットをやめたことによって、「チャットしておく」行為は、どこかの仕事の場所できちんとメッセージを送る行為に変わりました。GitHub issueへの書き込みは10倍くらい増えたように思います。GitHub Discussionsもそうです。
Re:lationのコメントも3倍くらい増えたと思います。Re:lationの応対メモも毎日数件、今までは書いていなかった報告も記録されるようになりました。これは「記録してコメント欄に質問したいから」という理由です。今まではチャットに書いていたので、いつどこで誰とどんな通話をしたのかは未記録になることが多かったのですが、Re:lationの履歴が非常に充実してきましたので、CRMとして十分に機能していると思います。

ここまで書くといいことばかりのように感じるかもしれませんが、デメリットも書きます。チャットをやめると、それぞれがきちんと仕事をする必要があります。チャットに書けばなんとなく仕事になっていたときよりも、制約は強くなります。営業チームは、電話するたびに報告しないといけなくて負担が増えたと言います。GitHubのissueに書くのかDiscussionsに書くのかわかりにくいとか、そういうことも多々あります。ようするに1つ1つを丁寧にやらなければならなくなりました。

それがいいか悪いかはさておき、短期で見れば生産性は下がっているのかもしれません。長期で見れば、みんながしっかり仕事をしてくれるようになるので、生産性は上がるのではないでしょうか。

あと1年くらい続けてみて、どのくらい仕事ぶりが変わったか、追いかけていきたいと考えています。

今後のこと

Gatherを導入して4ヶ月。社内での課題やメリットも蓄積してきました。4月から新しい社員が入ってくることもあり、どんどん社内の意見を聞いて、もしかしたらGatherではない別のバーチャルオフィスを導入するかもしれません。

また、今は人数が少ないので無料で使っています。有料版を導入すると1ヶ月700円/人がかかります。その分、打ち合わせの録画ができるようになるようです。打ち合わせの録画は、とっても便利です。動画ダウンロードできれば、あとから共有もできます。
ツ社では、録画が必要な打ち合わせの場合にZOOMを使っていますが、いちいちZOOMにいくのもめんどうです。夏前くらいまでに判断して、有料にするのかどうか検討していきたいと思います。

最後に

Gatherは見た目がかわいいので、ゲームが好きだったら視認性はとてもいいです!キャラクターが踊ったりできるので、感情表現もできます。話しかける敷居はぐっと下がりました。

とにかく、文字を考えて打っている時間は、常には必要ありません。システムエンジニアならば、喫煙所で仕様が決まる現場に出くわしたことがあると思います。ちょっとした相談で決まることは、本当は多いのです。在宅勤務でもその気軽さは必要ではないでしょうか。

チャットで入力内容に悩んでいる時間がもったいないと感じたら、ぜひ私たちのように、チャットをやめてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

yfukudaのアバター yfukuda 取締役・システムエンジニア

ツチノコテックアカデミアの記事は、社内で誰かが質問してくれたことに回答したときに、ついでに記載しています!(^^)/
みんなの悩みを共有すれば、きっと誰かの役に立つと信じて更新しています!

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